退去予定でどんどん申込が増加中の現状とは?契約が決まる理由と賃貸探しの変化を紹介

賃貸あれこれ

近年、賃貸物件の探し方が大きく変わり始めています。「気になる部屋を見学してから決める」という従来の流れが通用しないケースが増えていることをご存じでしょうか。退去予定と同時に申込や契約が急速に決まる現状では、じっくり内見して選ぶ余裕がないこともしばしばです。本記事では、なぜこのような状況が生まれているのか、見学できない時代にどのように賃貸物件を選べば良いのかを分かりやすく解説します。今後のお部屋探しに、ぜひお役立てください。

退去予定物件が注目される背景と現状

賃貸市場において「退去予定物件」、すなわち現入居者が退去前にもかかわらず募集される物件は、オーナーが空室期間を可能な限り減らし、収益を維持したいという強い動機から注目されています。その結果、退去前にもすでに申込や契約が進むケースが増え、市場全体として契約までのスピード感が非常に高まっています。人気のある物件では、内見が可能になる前に成約に至る例も少なくありません。

こうした状況下では、「内見できないうちに申込・契約を済ませる」という選択を賃貸希望者も求められるようになっており、その心理としては「良い物件を逃したくない」「次に住む場所を早く確保したい」といった焦りや先取り志向が強く働いています。一方で、現地を確認できないことへの不安も根強くあり、図面や写真・間取り情報を徹底的に活用するなど、事前にできる限りの情報収集と確認を行う姿勢が重要になっています。

状況 背景・理由 賃貸希望者の対応ポイント
退去前募集 空室期間を減らしたいオーナーの意向 資料から状態の把握と入居可予定日の確認
先行申し込み・先行契約が増加 人気物件の確保と募集スピード重視 契約前に詳細確認とキャンセル条件の把握
内見せずの意思決定 ネット情報の充実と遠隔契約需要 間取り・設備の詳細確認と周辺環境の調査

先行申し込み・先行契約の種類と注意点

賃貸物件における「先行申し込み」と「先行契約」は、内見前に入居手続きを進める点で共通しますが、法的な拘束力やキャンセル時のリスクにおいて重要な違いがあります。

種類特徴キャンセル時の注意点
先行申し込み まず申し込み・審査を行い、内見後に契約を判断する方式。人気物件の確保に有効です。 契約前であればキャンセル可能。申込金(預かり金)が返還されるのが原則ですが、まれにキャンセル料の規定がある場合もあります。
先行契約 内見せずに審査から契約まで進める方式。確実に押さえたい場合に利用されます。 契約後のキャンセルは解約扱いとなり、家賃1か月分程度の違約金が発生することが一般的です。

まず、「先行申し込み」は仮押さえ的な性格が強く、正式な契約前であればキャンセルや変更が比較的容易です。国土交通省の指針でも、契約前は申込みのキャンセルが原則として可能とされていますし、預かり金も返還対象となります。ただし、不動産会社によっては独自にキャンセル料を定めている場合もあるため、申込前に確認が必要です。

一方、「先行契約」は内見を省略して入居を確定させるため、キャンセル時には解約扱いとなり、多くの場合、家賃1か月分の違約金が発生します。加えて、実際に入居してから「思っていたのと違った」となるリスクも高いため、慎重な判断が求められます。

判断基準としては、まず希望物件に対する理解度が高く、多少のリスクを許容できる場合に「先行契約」が適しています。一方で、内見後に慎重に判断したい方や、複数物件と比較したい方には「先行申し込み」が向いています。どちらを選ぶにせよ、申込前の説明確認と契約条件の把握を徹底することが重要です。



退去予定物件を活用した募集戦略と運用方法

賃貸経営において、退去予定の物件をいち早く募集することは、空室期間を短縮し、収益を安定させるうえで大きな効果があります。まず、退去通知を受けた時点(通常は退去の1~2か月前)から募集を開始することで、空室期間を最小限に抑え、早期に次の入居希望者を確保できます。ただし、このタイミングでは室内の状態(清掃や修繕の必要性)が不明な点には注意が必要です(①)。

続いて、募集開始のタイミングとしては、退去予定日のわずか数日~1週間前も有効です。このタイミングでは、既存の写真やデータを活用しつつ、週末の内見予約を効率的に行うことで募集効果が高まります(②)。

さらに、募集開始にあたっては次のような情報強化を図ることが重要です。現地で撮影した写真・間取り図・設備状況に加え、360度パノラマビューや詳細な設備説明、清掃・修繕履歴などを提供することで、内見ができない状況でも入居希望者に安心感を与えられます(③)。

戦略内容効果・注意点
早期募集(退去予告後) 退去予定1~2か月前から募集を開始 空室期間の短縮。ただし原状回復内容が不明な場合はリスクも
直前の募集 退去予定日の数日~1週間前に掲載 週末の内見予約で効果的に集客が可能。室内状況確認は必須
情報資料の強化 写真・間取り・設備・360度ビュー・清掃履歴などを提供 内見不可でも安心感を高め、入居判断を支援

総じて、退去予定物件の募集戦略は、タイミングと情報の準備が鍵となります。早期に募集をスタートすることで好条件の入居者を逃さず、同時に物件の魅力を適切に伝える資料を充実させることが、内見が難しい状況下でも契約につなげる重要な要素です。



賃貸希望者が内見なしで決断するために知るべきチェックポイント

内見ができない「退去予定物件」の契約を検討される際は、図面や周辺情報から得られる手がかりをもとに、安心して判断するためのポイントを整理しておきましょう。

チェック項目確認内容活用方法
間取り図・設備情報畳数・収納位置・ドア開閉方向・設備の有無家具配置や生活導線のイメージを具体化する
周辺環境・外観建物の状態・共用部の様子・生活施設への距離現地を訪れて実際の雰囲気や利便性を体感する
入居時期や修繕状況退去後の清掃・修繕の期間、設備の劣化・不備入居可能日を余裕を持って設定し、リスクに備える

まず、間取り図や設備情報は、部屋の形や設備の充実度を判断する重要な手がかりです。収納の場所やドアの開閉方向など、見落としがちな点も家具配置や動線に大きく影響しますので、図面を読み解く力が求められます 。

次に、周辺環境や建物の外観も、内見なしでは見落としがちですが大切な要素です。駅までの道のりや街の雰囲気、共用部分の清掃状況などは、現地に足を運ぶことでしか把握できない情報です 。

そして、入居可能時期や修繕状況も見落とせません。退去後には清掃や原状回復工事が入り、入居までに思わぬ時間がかかる可能性があります。また、設備の不備などがあれば、入居後に不便を感じることにもつながりかねませんので、余裕を持ってスケジュールを組むと安心です 。



まとめ

賃貸物件の契約が退去予定段階で急速に進む現状では、見学や内見が難しいため、写真や間取り図、詳細な設備情報などをもとに物件選びを進める必要が高まっています。先行申し込みや先行契約にはリスクや判断基準があるものの、今後ますますこうした流れが一般化することが予想されます。物件に関する不明点は事前にしっかり確認し、納得したうえで迅速に行動することが、満足できる新生活につながります。時代の変化に合わせて、賢いお部屋探しを進めましょう。

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